「味も匂いも分からないの」。母が6年前にコロナに感染しました。40度の高熱と咳と喉の痛みに苦しみました。血中酸素が87という数値。武漢型に感染したのです。医療崩壊により初期治療が出来ず、自宅隔離で解熱剤も手に入りません。ウイルスが鼻腔上部にある嗅上皮の細胞に感染することで嗅神経の炎症や損傷を引き起こしたのです。味覚を感じる舌の味蕾細胞にもウイルスの侵入口があります。同じように、味覚を伝える神経への障害を引き起こしました。
コロナの症状が落ち着いて食事を摂ったら驚きました。何を食べているのか、味が全く解らないのです。神経の電気信号の伝達を回復させる必要があり、頭鍼パルスと顔面へのパルス療法を行いました。15分程、鍼を置きます。微細な電流刺激で、ニューロンの可塑性により神経の再生・再配線が促されます。ウイルスによる神経障害は誰にでも起こり得ます。鍼灸治療は神経の損傷や自律神経失調といった所謂、神経の再教育に秀でています。治療を始めて15回目に「食べ物のオイシサが解りました‼」