「腰と膝が痛くてやっとの思いで辿り着いた」(70代女性)とのことです。血液検査からレントゲンはもちろん、MRIまで検査をしましたが異常は認められず、鎮痛剤を服用しています。それでも痛みは消えず不安を募らせていました。痛みは単なる感覚伝達ではなく、脳が過去の経験や心理状態、外部情報を統合し、身体を保護するために発する防衛本能だと伝えました。実際、傷がないのに痛みを感じたり、深刻な損傷があるのに痛みを感じなかったりする場合もあります。
治療の基本は、脳に「身体は安全である」と確信させることであり、治療中は患者様の「快」「不快」の感覚を重視しました。具体的には、気血の流れを整える中医理論による鎮痛効果を目的としました。身体の深部にある硬結と痛みの皮膚表現を指先で感知しながら施術を行いました。治療が終わる頃には痛みがなくなり、「相談してよかった」と安心されました。痛みは身体からの大事なSOSなのです。検査数値に問題がないだけであって、痛みの原因を判断できないことが多々あります。