そう仰ったのは70代男性。正座しようとすると踵にお尻がつかずに浮いてしまいます。「正座が好きだったんだけどねぇ」。胡坐をかくように股関節のストレッチを行うと一時的に正座ができます。最初に腰と股関節、膝の触診と動きのテストを行うと腰と大腿の前面と側面が硬くなっています。正座をするとき、膝関節の動きが大切ですが、今回は膝周辺に異常はありませんでした。

 原因は股関節と骨盤の動きにありました。股関節を動かす筋肉は骨盤に付着していますが、お尻を下げる時の筋肉が固く伸びない状態になっています。動かした時、負荷が大きく固くなっている点を治療します。「すごい!ストレッチをしなくても正座ができた!」。

 筋肉は長年の繰り返される姿勢による癖を記憶し、金属の様に形状記憶をしてしまいます。鍼治療を行う事で筋肉へ鍼特有の侵襲刺激と響きが加わり筋肉についた癖をリセットします。これまで出来ていた姿勢が出来なくなった事を嘆かずにお気軽にお話しください。どこに原因があるのか確実に見極める事が大切です。

 詳しくお聞きしますと「夜中おトイレに3~4回起きてしまうの。もう長い間の習慣になっているからあきらめているのよ」。80歳のCさんは苦笑いしながら仰いました。夜間頻尿は年齢と共に頻度も増える傾向にあります。加齢による膀胱の伸縮性の低下、内分泌や代謝の異常、自律神経障害、多飲、薬剤性、腎臓・心臓疾患、脳血管障害、呼吸器疾患、うつ病など原因は多岐に亘ります。

 睡眠不足による眠気や怠さはもとより、夜、トイレに起きることは転倒や骨折等のリスクも高まり、死亡率の増加も指摘されています。膀胱は通常200~400ミリリットル程の尿を蓄えることが出来ますが、頻尿はその半分でもトイレに行きたいと脳へ電気信号を伝えてしまいます。仙骨付近の特効穴へのお灸は即効性もあります。「お灸をしていただいた夜、本当にトイレの回数が減ったのよ。またお願いします」。60代で7割、70代で8割以上の方がアンケートで夜中にトイレに起きると答えています。お悩みの際には「シモ」のことだからとご遠慮なさらず、お気軽にご相談ください。

 千葉市のXさん83歳女性「頭の後ろを触ると、痛くはないけど、ぷよぷよしてるの。頭は怖いからねぇ」。目を診て、舌と脈を診て、ろれつが回るか検査して、指の運動もしていただきました。特に異常は見られません。伏臥位で頭から足先まで触診をしました。後頭部に浮腫があります。浮腫は、自律神経の乱れから血行不良になり、正常にリンパ液を排出できない状態です。ストレス・ホルモンバランスの変化・運動不足・お薬の影響も考えられます。高血圧と甲状腺・三叉神経痛の既往があり、お薬を確認すると、痛み止めも飲まれています。

 鎮痛剤は抗炎症のものと、続けて飲むように言われる神経障害に働くものがあります。お薬の影響で肝臓の解毒作用と腎臓の排泄能力が低下します。主穴に後頭部の天柱・風池・完骨のツボを取り、頭鍼パルス。頚・肩の張りもあり、頚・肩・背部のストレス点・腰の治療もしました。3回の治療で少しずつ浮腫が小さくなりました。「出されたお薬は飲まなければいけないと思っていたわ」。痛み止めのお薬には、注意が必要です。

 「腰と膝が痛くてやっとの思いで辿り着いた」(70代女性)とのことです。血液検査からレントゲンはもちろん、MRIまで検査をしましたが異常は認められず、鎮痛剤を服用しています。それでも痛みは消えず不安を募らせていました。痛みは単なる感覚伝達ではなく、脳が過去の経験や心理状態、外部情報を統合し、身体を保護するために発する防衛本能だと伝えました。実際、傷がないのに痛みを感じたり、深刻な損傷があるのに痛みを感じなかったりする場合もあります。

 治療の基本は、脳に「身体は安全である」と確信させることであり、治療中は患者様の「快」「不快」の感覚を重視しました。具体的には、気血の流れを整える中医理論による鎮痛効果を目的としました。身体の深部にある硬結と痛みの皮膚表現を指先で感知しながら施術を行いました。治療が終わる頃には痛みがなくなり、「相談してよかった」と安心されました。痛みは身体からの大事なSOSなのです。検査数値に問題がないだけであって、痛みの原因を判断できないことが多々あります。

 「左の頸から肩甲骨の痛みで眠れなくて救急外来に行きました。これまでも頸が動かなくなることが時々ありました」。Aさん(38歳男)は学生時代からバスケを続けています。頸は中枢神経と内臓や四肢末端に至る末梢神経を繋ぐ大切な役割を担っています。頸椎は7つの骨が関節して前弯を呈し柔軟に動きます。頸髄から分岐した神経が圧迫されると首筋から肩背部にかけて痛みや痺れが起きたり手に力が入らなくなったりします。椎骨の間には衝撃を吸収する椎間板があり、頸だけ上を向く姿勢を繰り返すと頸骨の後ろ側の椎間板が圧迫され痛めるリスクが高まります。

 頸、肩甲部、腰に至るまで背骨を挟んだ左右の同一点に著しい硬結と熱感の相違が診られました。0.5ミリと言われる治療点を定めて鍼を置きパルス療法と光線療法、お灸を施し、治療後に頸の牽引もしました。うつ伏せの背中の呼吸の山が大きくなり、過緊張した筋肉が緩みます。起き上がると「おぉ・・・ラクだ!!」と驚きの表情です。”上を向いて歩こう♫”は過ぎると頸椎症と転倒の原因にもなります。

 「寒すぎて全身が凍っているみたい。肩も痛いし膝も痛いし」(80代の女性Yさん)。木枯らし吹く中、頑張って来院されました。腕が上がりません。肩腕の検査を行い、痛む動作を確認しました。精緻な集中力を必要とする触診を行い、深さ1ミリ程度の皮内鍼を貼りました。「あら、痛くないわ!」

 不思議なことに、同じ動作を行っても痛くありません。膝裏にも痛みがありました。寒さにより交感神経が亢進することで血管が収縮し、血液の循環が悪くなり、筋が硬縮します。関節周辺の硬直が滑液を阻害して、摩擦が生じ、放置すれば軟骨損傷や骨の変形に繋がることがあります。坐骨神経と股関節運動の為の股裂きに座禅のストレッチをしてもらいました。伸びやかさが有りません。筋の硬結部、付着部にも皮内鍼を使いました。侵襲刺激が感覚受容器に感知され、軸索反射が生じ、局所の血流が改善され、硬結が解けることで痛みが無くなります。電気的な反応なのです。治療して終わりではありません。毎日のストレッチが最も重要なのです。

 「足三里」や「関元」などの経穴に灸を施すと、局所的な温熱刺激により気血の流れが促進され、特に末端冷えの改善に効果を発揮します。また、灸は体温調節機能を整える作用もあり、ヒートショック予防の観点から非常に意義深い治療法です。中医学は「身体が無言で示すサインを見逃さない」という精微な観察を重視する医学です。治療点を見極めることにより、身体が本来持つ力を最大限に引き出します。

 さらに、日常生活では入浴前後の温度管理が重要です。脱衣所や浴室を適切に暖め、寒暖差を和らげることで血圧の急変を抑えることが可能です。入浴時は四肢の末端から徐々に温める温浴を心がけ、体温をゆっくりと上昇させることが推奨されます。ヒートショックのみでなく総ての病気を防ぐために、現代医学の知識と中医学の智恵を融合させ、冷静かつ柔軟に対応することが必要です。今年もどんな事が起きようと、笑って、動いて、食べて、眠って、自分の健康は自分で守る気概を持ちましょう。

 明けましておめでとうございます。

 「スマホが無いと困る」と答える人が81%もいます。スマホの利用時間は1週間平均約20時間で、1日3時間にもなります。スマホ症候群、スマホ依存症とも言われています。画面を長時間見続けることで頚肩の凝り、腱鞘炎、眼精疲労が生じます。大量の情報に晒され、脳機能が低下して脳疲労、集中力低下、イライラ、やる気喪失、物忘れ、記憶力が無くなります。ブルーライトで体内時計が狂い、睡眠障害。スマホ使用時に同じ姿勢を取り続けて動かないことで筋拘縮、肥満にも結び付いています。頭痛や筋肉痛も起こります。脳疲労が蓄積されると、うつ病や不安障害、パニック障害、ストレス性適応障害などになる恐れもあります。

 又、スマホを過剰に使用することで日常生活に支障をきたしています。やめようとしてもやめられない精神状態や行動障害を指すスマホ依存症は脳の萎縮も指摘されています。若い人だけでなく、高齢者にまで増えていることは恐ろしいことです。お日様を浴びて身体を動かし、スマホを使わない時間を作るなどデジタルデトックスは急務です。

 食欲も気力も湧かず、顔色が悪く、ぐったりした状態で来られました55歳の女性Kさんは検査の結果、透析寸前の状態だと言われました。加えて、中耳炎の影響で、鼓膜が硬く肥厚して色が黒くなり、鼓膜に穴を開ける手術が必要とも言われています。踏んだり蹴ったり、「先の希望が見えません」と力なく嘆いていました。

 中医学は”腎は耳に開口する”と申します。触診をすると頸周りが硬直していました。頸は身体から頭部へ向かう全ての神経を束ねて通るケーブルです。混線、渋滞すると、脳も臓器も代謝活動が減衰低下します。耳はもとより頸の治療をしたことで中耳炎の手術をせずに済みました。検査数値も改善しています。

 ご趣味の料理教室や神社巡り、テニスなどをする気力が湧き、希望が見えました。医者と坊主は「死ぬぞ、地獄だぞ」と脅すのが仕事。必要以上にショックを受けて、病気になってはいけません。貴方の今の生活が健康的であるか否かを反省して改善することが大切です。数値だけを見て薬漬けになってしまうことだけは避けましょう。最近はワクチンまで危険性を訴える人もいます。

 私生活のざわめきを持ち込まず、冷静な集中力を取り戻します。終わると前日の治療に対する反省と検討をします。15分の毎日の積み重ねは人格形成に非常に役立っています。

 医療は技術や薬で治すのではなく、慈愛で治すのです。初めに何を治療してほしいのか、主訴をお尋ねします。血液検査表・お薬手帳はとても役立ちます。声色は元気の度合いを測れます。目と顔色、脈と舌、手足の末梢、頭の先から足の先まで触診をし、形、色、硬、軟、滑、渋、乾、湿を診ます。内部の症状は必ず表皮に表れ、表皮の症状は内に何かが潜んでいます。自ずと患者さんの苦しみが理解できます。3千年に遡る伝統医学は証と経穴、経絡で説明をしています。治療点は、身体が『ここが悪いんです』と無言で教えてくれています。精緻な鑑識力を求められます。

 免疫力を高め、病気にならない、大事に至らない。生活改善に及ぶ自然医学の大切さを毎日実感させてくれています。医に携わる者、名と財を求めず。過剰な検査と薬・手術・ワクチンが天命の全うを阻んでいます。

 何でも病気になると薬だ!医者だ!の思い込みを変えて下さい。健康は意志力です。生命力です。自然治癒力です。

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日中友好草の根運動から四十有余年。
鍼麻酔から始まった中国鍼を治療に役立てる歴史。
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