「1日10回以上もホットフラッシュが起きます。仕事があるので困っています」。50代に差し掛かった女性 I さんが来院されました。ホットフラッシュは顔や頭にのぼせやほてり、多量の発汗、激しい動悸などが突然2~5分程度起こる更年期障害の代表的な症状です。更年期に私たちは生殖機能が衰えていくとともに、身体と心に様々な変化を迎えます。ホルモンバランスが乱れることで脳の視床下部の自律神経調節機能(血管・血圧・皮膚・発汗・体温)が乱れ、各々の働きのコントロールができなくなり、ホットフラッシュは起こります。いつ起こるか分からない発作的な症状にストレスを抱え、日常生活に支障を来します。職場の人間関係にも悩んでおられました。期待と結果との齟齬は常々情緒を不安定にして自律神経を損ねます。
全身が凝り固まり、足は冷えていました。頭鍼パルス療法、頚肩背部、自律神経叢、ストレス点への治療に併せ、足裏への熱いお灸が効果的でした。治療中は気持ち良さそうにため息をついておられました。ホットフラッシュの回数も激減しました。薬に頼らずに自律神経の調節をするには呼吸法を習い、静かに黙祷して坐ることです。