最近鍼治療のバーゲンセールが流行っているそうです。三百円で十本ぐらいの鍼を使って十五分ぐらいするのだそうです。私達は中国医療啓蒙協会を組織して三十年以上を費やしました。メクラ、コジキにアンマ、バリと言われた侮辱的な世間話を高度な医療に日本で育てたかったからです。そのきっかけが中国の文化大革命の頃に世界を驚愕させた鍼麻酔だったのです。現在柔道整復師、整骨院が急増しています。按摩マッサージをして健康保険の不正請求をしているのが後を絶ちません。外から見えるようにしてベッドに寝かせてモミモミしているのを見たことがありませんか?自粛と言うブレーキの効かない車は財政不足の現在、いずれ廃車になるでしょう。さて、殆どの柔道整復師の現在の治療技術では専業としている捻挫、打撲、挫傷に不足しています。自然治癒を待つに等しい治癒効果なのです。実際に治療を受けた方はご理解戴けると思いますが素人でも簡単に自宅で出来るような施術です。鍼灸師を雇って鍼の助けを借りるようになったのは歓迎すべき事です。確かに柔道整復師以上に鍼灸師の治療技術は優れています。勿論研鑽を積んで居ない人は論外ですが。三十年以上の私たちの啓蒙活動が寄与してくれれば望外の喜びです。然しながら鍼の治療は十本ばかりの鍼と十五分の治療が総べてと流布される事は多くの誤解の元になります。中国医学の原点は奥深く広い哲学的な医療です。そもそも現在の柔道整復師の治療はかっての柔道場から生まれた柔術の東洋医学の世界でした。それが西洋医学の局所解剖学の整形外科に組み込まれてしまったのです。その証拠に伝統ある非観血整復法の治療など見られなくなってしまいました。健康保険の点数に従ったパターン化した単純治療に変化してしまったのです。鍼も医師の同意書によって健保の適用が受けられます。したがって健保適用の鍼は点数ゲットの治療に終始しています。税収より多い社会保障費に焦点が集まっています。税収の総てでも社会保障費が賄えない異常な状態です。健康保険が聖域なき見直しで喧伝されている現在、柔道整復師の健康保険は無くなるかもしれません。その時点になって柔道整復師も鍼灸師も本物の良貨として悪貨の保険治療を駆逐するのでしょう。